仙台藝術舎/creek第1期を終えて


仙台藝術舎/creek第1期のまとめ冊子ができました。広くは配られておりませんが、1期を終えてのふりかえり的文章を書きました。こちらに掲載します。

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仙台藝術舎/creek第1期を終えて

 2016年9月からスタートした仙台藝術舎/creek第1期が終了しました。ギャラリーターンアラウンドの関本欣哉氏が10年以上前から構想していた美術の私塾がついに始動しました。このような機会に立ち会えたことをうれしく思っています。関係者の方々にも、改めて感謝いたします。アーティストでも専門家でもない単なる美術好きのいち個人がなぜ私塾の設立に関わるようになったのか。もちろん以前から交友関係でもある関本氏の思いに共感し、何か協力できないかという考えはありましたが、今回のcreekについてはそれだけはありません。
 
 ご存知の通り仙台・宮城には芸大がありません。アートについて本格的に学ぼうと思っても、その機会は限られています。芸大がなければ当然、指導者の数も限られます。ギャラリーも年々減少傾向にあり、リアルに表現する場もますます減ってきています。このような現状から多くの学生は、学びの機会を求め県外に出てチャレンジしています。もちろんそれを否定する気は全くありませんが、一方でこの地でこそできる表現活動もあると考えています。東日本大震災から6年が経ち、まち全体の閉塞感は日に日に高まっている気がします。まちには今、新しい刺激と問いかけが必要です。さまざまな社会課題に対して美術を含めすべての表現活動が何を投げかえることができるか、真剣に考える時期だと思います。アートを閉鎖的なものにせず、常に社会と闘う武器として磨き上げていくことも必要ではないでしょうか。creekが多様な表現者が集い、学び、議論を重ね、表現する場として機能することで、新たな視点や価値が生まれると思います。刺激的で実験的な取り組みが許容される場をつくり続けます。
 
 新しいことに対するリスクは常に伴います。他者からの厳しい批判の目にも合うこともあるかもしれません。それでも前進しなければこの鬱屈した現状を変えることはできそうにありません。やり遂げて初めて見える世界もあります。また、新しい試みとしてcreekとは、別ですがアート批評の媒体も今、数名の書き手と準備を進めています。
 
 事務局としてまだまだ至らない点はありますが、すべての関係者のみなさんとともに、いろいろなことと格闘しながらcreekを育てていければと思います。2期以降もよろしくお願いいたします。

事務局 桃生和成


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